Rumitureインタビュー企画 GrindeRs #7 Taishi Oyama×Toshiki Sato

「トレーナーとアスリートは最高の相互成長パートナーになれる」


Rumiture製品使用者インタビュー企画”GrindeRs”

自分の目標を達成するために日々努力(Grind)し続けている人々=GrindeRs。

GrindeRs第7弾はトレーナー小山泰司さんとRumiture代表でありプロフットボールプレーヤーの佐藤敏基の対談企画です。現在カナダプロリーグCFLに所属する佐藤と出会ってから8年に渡って佐藤をサポートしてきた小山さんの出会いや互いが関わる中で学んだことをざっくばらんに話していきます。どんな事を意識してコミュニケーションを取るのか、具体的にどんな部分でお互いの成長の一助になれるのか、世のアスリートとトレーナーの皆様がより良い関係を築くための気づきになれば幸いです。


佐藤(以下S):前々からアスリートの成長にはトレーナーとのコミュニケーションが不可欠だと思っているのですが、以前インタビューさせて頂いた時に小山さんの哲学を伺って、8年来の付き合いである2人でアスリートとトレーナーの関わり方や相互成長に関して対談したら面白いのではないかと思って今回依頼させて頂きました。本日はよろしくお願いします!


小山(以下O):よろしくお願いします!


S:もう出会って8年になるんですね。僕がIBM(社会人XリーグIBM BIGBLUE)在籍時にチームに小山さんと楢原さん(現アルビレックス新潟ヘッドトレーナー)がチームに合流して、この2人との出会いが僕のアスリートとしてのコンディショニングへの意識を大きく変えてくれました。2人との出会いがなければ北米でプロになれなかったと思います。


O:2017年だよね、俺も敏基との出会いをきっかけに色んなことを考えるようになったかな。楢原さんが2人のキーパーソンだよね。春の最初はまだチームにいなくて、先に合流していた楢原さんに誘ってもらって遅れて合流したから、その間とかは敏基も楢原さんにケアしてもらってたよね。でも楢原さんがチーム全員ケアしてるくらいの勢いで手一杯だったからたまたま俺が敏基を診て、そこで反応良かったからそこからどんどん俺が担当するようになったという記憶。


S:そうですね、初めて施術してもらった後、「この人すごい。。。!」って思った記憶があります。痛いところとかにほとんど触れずに治ったのが衝撃でしたね。

楢原さんに出会って「セルフケアとは不調が出た時に治すことではなくて、不調が出ないように日々自分の身体と向き会うこと」という事を教えてもらったことで考え方の基盤ができて、そこから小山さんと一緒にいかに不調に陥らないか、好調に持っていくか、いざ不調が出てもすぐに直すかというのを今日まで研究してきたという感じですよね。


O:当時楢原さんと、敏基が上を目指すなら全てを頼ってくるんじゃなくて自分でやる能力をいかに養ってあげるかが大切だよね、って2人で相談していたんだよ。


S:知らなかったです、ありがとうございます。


O:当時は全任せでお願いしまーす!って感じだったからね(笑)


S:お恥ずかしい(笑)

学生時代って痛いところ相談するとアウトさせられるのが嫌でなるべく隠して本当に無理になったらトレーナーに頼るみたいな考え方だったんですけど、そうじゃなくて本来は自分の身体の良くない変化に気づいたらそれが大事にならないように日頃トレーナーさんとコミュニケーション取るべきだと今は思っています。トレーナーさんっていうのは痛いところを治してくれる受動的に関わる相手ではなくて、自分の実現したいコンディショニングへのアドバイスをもらうために能動的に関わる相手というイメージです。その分野でこんなにも頼もしい存在はいないですよね。この考え方に至ったのは楢原さん、小山さんのおかげです。


O:素晴らしい!こんなに言語化できるまで成長したと知ったら楢原さんもきっと喜んでくれるね。俺もIBMに行くまでは病院勤務が基本だったから、スポーツ現場のことについては楢原さんから沢山学んだな。


S:僕の所属するCFLでは約2週間のキャンプから始まりその後は21週間のレギュラーシーズンに入るのですが、途中各所に散らばった3週間以外は基本完全な連休がないのでセルフコンディショニングができない選手は怪我したりパフォーマンス落ちてクビになったりと、かなりシビアな世界なのでセルフコンディショニングは殊更重要なスキルになってきます。3日連続で練習で蹴る時のDay3は前2日の調整次第で大きく左右されます。試合だけではなく練習の出来だけでクビにされたりもするのでケアも命懸けですね。


O:そんなに厳しい世界なんだね。試合だけじゃなくて日々の練習も勝負なわけだ。


S:そうなんです。僕はパフォーマンスの向上や維持を4本の柱で考えていて①フィールドでの技術②ウエイトトレーニング③ピラティス④コンディショニングのそれぞれにコーチやトレーナーさんがいて調子が悪くなれば悪くなるほど④に向かって意識を移していきます。色んな方に支えられて日々パフォーマンスができています。

小山さんから学んできたことはこんな感じで自分の糧になっているのですが、逆に小山さんの糧になっている部分もありますでしょうか。


O:敏基と出会ってからその縁で色んなキッカーを特にみるようになって、そういった選手たちに知識を与えながら自分も成長してこれたっていうのと、敏基の日本記録にも、その次に長い福岡(現IBMキッカー)のキックにも携われたっていうのはほんとうに嬉しかったね。敏基の記録の日は特にコンディション最悪で俺と目すら合わなかったもんね最初(笑)。試合前から蹴ってコミュニケーションして調整してを繰り返して結果試合であのキックを決められたけど、それまで一緒にやってきたからこそ試合前、中の短時間で調整することができたと思う。


S:日頃のコミュニケーションが功を奏しましたよね。僕も小山さんが調整してくれたからもう身体は大丈夫だって自信を持つことができて、あとはキックのキーワードである呼吸とリズムに集中することができました。


O:嬉しいね。敏基との最初の出会いを思い出したら、まだまだ粗さのあるThe学生あがりの選手、って感じだったな。でもケアの知識には貪欲で色々聞いてきてくれて、トレーナールームに最初に来て最後までいたって印象。身体のことだけじゃなくてキックの知識も全く無い俺に、このキックの身体の動きをどう思いますか?とか聞いてきて、身体の構造的に考えるとこうかな、みたいに一緒に考えたことが今の自分のトレーナーとしての強み、選手の"動作分析能力"に繋がってると思う。選手のパフォーマンスを見ていつもとの違いとかに気づいたら、今日こんな風に違うんじゃない?って聞いて、そうなんです!ってなって、じゃあこうケアしたら、っていうのを繰り返し答え合わせしていった結果、最初はキッカーだけだったのが色んなポジションに応用できるようになっていったかな。


S:トレーナーって身体のスペシャリストで、どんなパフォーマンスも根底を掘り下げていったら身体構造に辿り着くと思うんです。なので僕で言ったらキック動作に凝り固まった視点じゃなくて身体動作を多角的視点からみることのできるトレーナーさんにアドバイスを頂くっていうのはすごく大切なことだと思っています。


O:さっき敏基が言っていた技術とかストレングス領域とかの一番ベースにトレーナーの領域があると思うから、あくまでその領域からはみ出ず、俺が俺がってならない事は常日頃心がけてる。チームに属していたらストレングスコーチや技術コーチとコミュニケーションとって連携をはかるけど相手の領域を必ず尊重しているね。


S:一番基盤にあるからこそ疎かにしたらその上に何も積み重ならないですよね。

初めてアメリカのトップコーチから指導を受けた時に、頭ではわかっていても実現できないテクニックがあって、技術の実現には身体の強さや柔軟性、動作精度が不可欠なんだって改めて実感しました。



O:そうだね、どうしても「痛いのを治す人」って日本スポーツ界では思われがちだと思っていて、マイナスをゼロに戻すだけじゃなくてイチまで持っていけるっていうのをもっと知ってほしいな。イチまで持っていってその先の人(ストレングス、技術コーチ)にバトンタッチしたいと思ってる。でも自分の助けられる範囲じゃないなって思ったらすぐ適切な第三者にすぐ繋げる事もする。あくまで「選手ファースト」っていうのが絶対的な理念だね。

IBMでは技術コーチが選手の課題を見つけてその解決法を技術コーチ、ストレングスコーチとトレーナーで連携して各分野で考えて選手を育てるっていうのができるようになってすごくやり甲斐があった。


S:そういった体制があるチームは選手としてはすごく心強いですよね。ケア面では小山さんに出会ってから「痛い場所っていうのは結果でしかなくて根本的な原因を見つけて取り除かないと再発するしそもそも治らない事もある」っていうのを学んだと思っていて、もも裏が痛いのにそこには全く触らずに治して下さった時とか感動したんですけど、やっぱりトレーナーさんは痛い場所に囚われず抜本的解決策を別の箇所から探すという人が多いですか?


O:最近はそういう人が多いけど、学生トレーナーの子には最初は難しかったりすると思う。俺はお師匠さんがいてそういったエッセンスを学ぶことができたけど、身近にちゃんと教えてくれる人がいないと難しい部分もある。一箇所の不調に対して、その部位に始まってそこから関連する箇所にどんどん視野を広げていって仮説を何個か立てていくと、原因を発見できるっていうのがこの考え方かな。


S:小山さんは結構細かい部分まで見てくれるイメージなのですが、その中でも皮膚の動きやすさにまで注目しているのは小山スタイルなのでしょうか。


O:そうだね、元が病院勤務だったから手術後の傷口周りの皮膚が動かないと他の部分にも影響してくる、っていう事例を経験していてそれから勉強を始めた。勉強してみると皮膚運動学を研究している先生とかもいて、皮膚が不調だとその中身の筋肉にも影響するし、感覚器でもあるからその違和感からどこかに緊張が生まれる、逆に皮膚のコンディショニングを行うことでリラックスしてパフォーマンスすることができるっていうので大切にしてるね。研究は進んでいるけどまだスポーツ現場に落とし込まれているかといったらそこまでではないから、これから広まって行ったら面白いと思ってる。


S:なるほど。僕も小山さんに教わって以来練習前に保湿クリーム塗ってます、今いる場所は結構乾燥地帯なので欠かせないです。

トレーナーさんとある程度高度な会話をするにはある程度身体の成り立ちとか筋肉のつき方とかの知識がないといけないのかなと思って少し勉強したりもしたのですが、実際トレーナー側から選手にどこまで身体についての専門知識を求めるものなのでしょうか?


O:最低限、昨日の自分の身体と今日の身体がこんなふうに違うって説明ができれば専門知識とかは選手には求めていないかな。知識があれば筋肉名で伝えるし分からなくても例えば「前ももの筋肉」とかで説明するから大丈夫。それよりも昨日の自分との違い、夏と冬の身体の違い、調子良い時に比べた今の自分の身体とかを説明できる能力があればその人のパフォーマンスも絶対良くなるしトレーナーと良いコミュニケーションが取れると思う。最初はそれが全くできなかった選手が自分と関わってる中でうまく言語化できるようになると嬉しいし、じゃあ自分はこういうケアでサポートしようっていうのが明確になるね。


S:そういった目線で選手の成長を助ける時に意識していることはありますか?


O:まずは自分で説明させてみるってことかな。アウトプットさせることで言語化の能力が高まって自ずと理解が深まっていくから。「お願いしまーす」って受動的に来るんじゃなくて「こういう状態でこんな要因があると思います」っていう能動的なコミュニケーションの入り方にすることで選手が自分の身体に興味を持ってくれるようになると思ってる。能動的なトレーナーへの関わり方と言語化ができる選手はその場しのぎじゃなくて長期的に見て良いコンディショニングにつながる。


S:言語化めっちゃ大事ですよね。小山さんは質問を良い具合に投げてくれながらもわかりやすく提言とか要約をしてくれるので、言語化をサポートしてくれてすっと腑に落ちやすいです。


O:自分の身体の状態を理解して練習に臨むことで怪我の予防とパフォーマンスアップに直結するからね。有名なメジャーリーガーも毎日のストレッチは確認作業と位置付けて、その状態を頭に入れて練習に臨んでいるらしい。


S:僕も頭の中にクティベーションとかウォーミングアップのストックが沢山あって、練習前の自分の身体の調子を見てどれをやるべきか考えて選んでます。どの部分の筋肉が適切な状態に比べてどれくらい緩んだり張ったりしているのかをもとに刺激を入れるのかストレッチするのか決めるといった感じですね。なので練習前のルーティン(アップのメニュー)を完全に統一するというのには反対派です。


O:それができるようになるには普段の自分の状態とか変化を理解できる必要があるよね。


S:まさにそれを助けてくださるのがトレーナーさんかなと思っているので、チーム内でもどんどん発信してほしいなと思っています。


O:まさにそうだと思うけど、日本のアメフトチームだと週に2回しか会わないから難しい部分ではあると思っていたね。(※日本のアメフトチームは基本平日は会社員の選手で組織されているのでクラブチームの練習は週2日が基本、企業チームは3週回練習する場合も)社会に出るとストレスとかを感じてそれがパフォーマンスに影響するんだけどその変化に気づかないままプレーしてしまっている選手が多い環境だったと思う。そういう細かい変化に気づいて仕事の疲れをしっかりケアできる選手が増えれば企業チームとの練習回数による差が埋まるんじゃないかなと思う。


S:それこそトレーナー側から主張するだけじゃなくて選手側からも学ぼうっていう意識と歩み寄りがないと身に滲みないですよね。

今僕はカナダでプレーしていて小山さんは日本にいるっていう状況ですが、定期的に身体の相談させてもらっているじゃないですか。会っていないにも関わらず毎度適切なアドバイス頂いているんですけど、海外とは言わずとも物理的距離ができたりスケジュール的に会えない場合にリモートでもコンディショニングサポートを成り立たせるための関係ってどうやって築いたら良いんですかね。


O:ぶっちゃけめちゃ大変だよ(笑)動画とか送ってきてくれるけどすごく頭捻ってる。長年敏基の身体を触ってきていたのと、コミュニケーションをとってきたこと、どんなセルフケアをしているかの理解があるから成り立っているのかな。

敏基は性格的に一つのことに夢中になりがちだから、気づいてない部分に目を向けさせるようにしてるかな。送ってきた動画と文を見ながら、ここには意識いってるのか、でもここには気づいてないからこういうエラーが起きてるのかな、っていう見方。


S:具体的にどんな情報を渡すと判断しやすいですか?


O:現在の動画と良かった時の動画、自分はどんなこと意識しているか、技術コーチにはなんて言われているか、この辺りがあれば判断できると思う。


S:長年一緒にやるのはもちろん大事ですが、選手の性格理解、適切な情報交換、選手側の言語化能力などがあれば短期、中期間の関係でもリモートでのコンディショニングは成り立ちそうですね。

最後に、アスリートとトレーナーを良い相互成長関係にしていくために各人に主張したいことはありますか。僕からいうと、まずアスリートにはトレーナーさんは「痛いところを治してくれる人」ではなくてセルフコンディショニング能力を高めるためのコーチだと思って能動的に接していくべきだと思っています。その認識を持って関わり、知識を吸収することで持続的な高いパフォーマンスを発揮できるようになると思います。トレーナーさんに対しては、どんどん踏み込んできてほしいと思っています。技術的専門知識はなくても身体の動きに対して至らない部分とかがあれば指摘してほしいですし、いつもと動きが違うからこんなケアしたら、というのを言ってもらえたらすごく助かります。


O:アスリートに対してはトレーナーをうまく使ってほしいと思う。最後どうにもならなくなった時の駆け込み寺じゃなくて普段から相談して貰って、悪い状態にならないようにしてほしい。トレーナーに対しては、マウントを取らないでほしいかな。確かに頼まれる側で身体の専門家ではあるけどスポーツ技術に関しては学ばせてもらう側だから、自分の意見は絶対正しいって態度で押し付けるのは絶対ダメだと思う。


S:それは選手側も同じで、トレーナーは選手の専門技術には詳しくないだろうって上からいくのも絶対違いますよね。お互いが専門知識を持っていて情報交換をすることでお互いが成長するわけだから双方向のリスペクトが不可欠ですよね。


O:その通り、お互いの勉強だよね。敏基をきっかけに色んなキッカーから学んできて、おかげで動作解析の能力はかなり高まったと思う。

なので、、、全国のキッカーの皆さんぜひ頼ってきてください!


S:ちゃっかり宣伝してる!(笑)

小山さんは現在「ACTIVE RESET溝の口店(https://www.activereset.com/)」にいらっしゃいます!身体の不調やコンディショニングの不安がある人はぜひ尋ねてみてください。

Instagram→ https://www.instagram.com/oyama_taishi?igsh=bDVvejd3bzNmN3Zl

ートレーナーと選手の相互成長のポイントまとめー

  • セルフケアとは不調が出た時に治すことではなくて、不調が出ないように日々自分の身体と向き会うこと
  • トレーナーは痛いところを治す人ではなくコンディショニングコーチ。マイナスからゼロだけじゃなくイチまで持っていくことができる
  • 選手はトレーナーに”能動的”に関わる
  • アスリートの言語化能力を養ってあげる
  • トレーナーならではの視点で選手の技術向上に関与できる
  • アスリートとトレーナーは対等、互いにリスペクトを忘れずに

小山さん、ご協力ありがとうございました!

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