Rumiture製品使用者インタビュー企画 GrindeRs #6 Hideya Izawa

「下の世代の成功が自分の夢」日本一常連チームのヘッドトレーナーであり続けながら後進育成に精力的に取り組むトレーナー井澤さん



Rumiture製品使用者インタビュー企画”GrindeRs”

自分の目標を達成するために日々努力(Grind)し続けている人々=GrindeRs。

彼ら/彼女らが自分の胸の中に秘めた感情や物語はあれど、第三者が知る機会はなかなか無い。

この記事を通してGrindeRsのストーリーを知って頂き、共感や感銘が読者のGrindする力になれば幸いです。


Rumiture製品使用者インタビュー企画第6弾は富士通フロンティアーズヘッドアスレティックトレーナー井澤秀野さんです。長年日本トップチームのヘッドトレーナーを務め、アメフトとラグビー両方で日本代表の経験を持つ井澤さん。頂上からの景色を知る井澤さんの次なる目標は後進の育成。同時に業界改善のためにも奮闘するスーパートレーナー井澤さんにご自身のトレーナーとしての哲学と後進育成の戦略を伺いました。



ー所属とお名前を教えてください

富士通フロンティアーズでトレーナーをしている井澤秀野(ひでや)です。他にも東海大学付属相模高等学校ラグビー部、明治学院大学アメリカンフットボール部でもトレーナーをしています。富士通のトレーナーは7年目になります。東海大相模は12年目、明治学院も7年目になります。

 

ーその他にも学校で教鞭をとられているのですよね

学校も3つ行っており、横浜のリゾート&スポーツ専門学校、東京メディカル・専門学校、名古屋医健スポーツ専門学校でリハビリ、救急処置、スポーツ医学をメインに教えています。

 

 

ーどんな資格をお持ちですか

国家資格の柔道整復師、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーの他に、民間の救急処置系の資格を持っています。

 

ートレーナーになったきっかけを教えてください

高校の陸上部にトレーナーさんがいて、その頃からこんな仕事があるんだ面白そうだなと興味を持っていたのですが、大学に入った際に全部活を対象にみるトレーナーの部活があり、そこに入ったのが始まりです。

 

ートレーナーとして一番大切にしていることは何ですか

トレーナーとしてフィールドに立つ上で最も大切なのは「選手の命をいかに守るか」だと思っています。当たり前の話ではあるのですが、テーピングやリハビリなど様々な仕事がある中で常に最優先は選手の命であるということは念頭に置き続けています。足首を捻挫してもそのうち歩けるようにはなるし、肉離れしても歩けるようにはなりますが頭を打って出血したら命に関わるので。

 

 

ーRumitureのトレーナーバッグの気に入っている点を教えてください

富士通の10人以上のトレーナー、東海大相模でも5人程使用していますが、いい声しか聞かないですね。開発段階でこういったところを工夫して欲しいというのを全てクリアしてもらっているので非常に良いです。具体的には本体防水機能に加えてレインカバーもかけられるところ、ある程度の硬さがあることで中のテープが型崩れしない、蓋を開けた部分にポケットがあり小物を入れられる、ハサミのホルダーがボタン式なので今までのマジックテープと違い経年劣化で使えなくなるということが無いのが良いです


ー富士通フロンティアーズという日本一常連のチームで7年間も信頼を得てヘッドトレーナーであり続けている秘訣はありますか

トレーナーというと対選手で行っている業務が多いようなイメージですが、ヘッドトレーナーが対選手でおこなっている業務というのは実は3〜4割しか無いんです。表には見えないところで結構色んなことをやっていて、マネージメントが主な仕事になります。例えば富士通のトレーナーユニットでいうと20人以上のトレーナーがいるのでその中の誰とどの選手が合うか考えてリハビリをアサインしたり、この症状だとこの人が得意だからアサインするなどを考えています。チーム全体のタイムマネジメントも行いますし、何より大事なのはコーチやマネージャーさん達とのホウレンソウだと思っています。コミュニケーションが大きな鍵で、怪我の報告をチームにあげる場合でも誰から順番に報告するかを考えています。何があってもまずはヘッドコーチ、その後にユニット、ポジションコーチに報告していきます。そしてもう一つ大切なのが「伝え方」です。例えばあるコーチはまず最初に結論が欲しい人なので最初に結論を必ず述べ、毎日会うわけでは無いので文面ではなく電話で報告しています。またあるコーチにはデータや確率などの数字を示すと好まれるので、本日プレーすると再発確率が〇〇パーセント、のような報告をしています。逆に感覚派のコーチには細かいことは言及しすぎないで感覚的に話すなど、誰に、何を伝える時、どの順番で、どのツールを使って、報告を行うかというのを気にかけています。後は伝える場所と時間も考えながら話をするようにしています。


ートレーナーの育成のためのオンラインスクール「井澤塾」を経営なさっていますがどんなきっかけで始められたのでしょうか(Link:https://twitter.com/IZAWAJUKU

50歳手前になり、自分が今まで得てきた知識や技術を業界に還元して後進を育てていきたいとずっと考えていたのですが、業務を掛け持ちしすぎてそこにかける時間がなかなかありませんでした。そんな矢先にマーケティングのプロの方と出会い、その方がプラットフォームを作ってくれて更には事務局に携わってくれる人も見つかり、開設する事ができました。自分の実務はZoomで講習を行うだけになっているので、他業務とバランスを取りながら教科書には載っていないようなことを生徒さん達に提供できていると思っています。後進を育てるだけではなくて業界の改善という部分も目的にしていて、休みなしの労働環境や低給与の現状を改善したいと考えています。


ー具体的にはどんな事を教えていらっしゃいますか

「トレーナーとしての考え方」のカンファレンスというのと私自身が長年の活動で培ってきた「メソッド」の2軸を持って指導しています。契約を長く継続する為にはどうするべきか、こんなトレーナーは首を切られやすい、コミュニケーションをとる際の具体的なコツやインターンはどれくらいの期間行うべきか、などの考え方の指導や実際の現場で役に立つ技術の指導を行うことで知識、技術、考え方、全て備わったトレーナーを育てていきたいと思っています。現在は初めて1年弱程ですが40人程の会員がいます。

 

ー前述にありましたがトレーナー業界の課題はどんなものがありますか

まずは競技、チーム、年代によって給与がばらばらであるということです。アルバイトの時給にも全く満たない場合もありますし、全体的に拘束時間に対して給与が低い環境です。他にも拘束時間が長いことで友人や家族と過ごす時間が無いですし、雇用契約でなく業務委託で単年契約な事がほとんどで安定に欠けるというのも問題だと思います。

 

ー井澤さんはそれらの課題に対してどのように改善をはかっていますか

「井澤塾」と並行して「トレーナーエージェント」、そして「治療院のオーナー」の三本柱を持って活動しています。トレーナーの仕事は求人誌に載らないので、トレーナーとチームを適材適所で繋げるエージェント活動をしていたり、チームに属していてもチーム活動日以外の時間でも雇用を得たいと言う人たちを非常勤の施術師として治療院で雇っています。トレーナーと患者さんの関係性次第でタイムスロットに分けて空間を提供しているイメージです。その他にも井澤塾のカンファレンスで交渉力についての指導を行っています。チームに対してなぜこのくらい給与を上げて欲しいかという根拠をどのような形で明示できるかが大切だと伝えています。

 

ー現場で学生トレーナーさん達をマネジメントする際にどんなことを心がけていますか

全員が動きやすい環境を提供しようと心がけています。何より挑戦しやすい環境にするために失敗を失敗としてチームに見せないようにしたり、自分が責任は全部取るので好きにやってみようと伝えています。声を荒げて怒ったりは絶対せずに個々の考えを尊重して承認してあげたいと考えています。選手も多くいる環境なのでチーム全体が円滑に回るためにも皆に「任せる」という事が大切かなと。

 

ー井澤さんの元で学んだトレーナーさん達にはどんなトレーナーになって欲しいですか

ジェネラルなトレーナーになって欲しいです。何か得意な事があってこれといえばこの人、のような代名詞になっている方々がいてそれも良いのですが、私は全てにおいて平均点以上のトレーナーを育てたいです。何か特別秀でていなくても欠点がなく、全ての業務を行えるトレーナーの方が現場で活躍しやすいしチームにとってもありがたいかなと思います。

 

ー長年トレーナー界を渡ってきた井澤さんですが、苦労されたエピソードはありますか

どんな事が起きても辛いとか、辞めたいとかは思ったことはないですね。大学を出る際に「自分はこの仕事で一生食っていく」と決めたので覚悟があったのだと思います。20代ではチームのインターン、整形外科と接骨院の勤務、専門学校の掛け持ちを行いながら夜はコンビニの夜勤に向かう、という結構無茶苦茶な生活をしていましたが、それでもこの業界で成功している人はそういった経験を苦労と思わず楽しんでいる人が多い印象です。20代では様々な人に会って見地を広げ、30代で方向性を固めるというざっくりとしたプランでした。26歳で専門学校に入り直してそこから2つの学校に通い、30歳で独り立ちしました。

 

ーそういったタフな状況下に今置かれている、これから置かれるトレーナーにメッセージはありますか

「諦めが悪い人が成功する」という事ですね。最初は時間的にも金銭的にも厳しいかもしれませんがそれでも諦めずやり続けた先に成功があると思っています。収入もある一定時期からグッと上がるような業界なのでそこを念頭に置いて粘り強く頑張って欲しいです。

 

ー最後にトレーナーとしての夢、目標を教えてください

かつてはチームとして日本一になることや、日本代表のトレーナーになることを夢みていましたがありがたい事にこれらは叶える事ができたので、今後はいかに下の世代の子達が成功する姿を多く見られるかということに夢を持っています。

 

ー今後Rumitureで作って欲しい製品はありますか

トレーナーバッグの他にもチームで一つ試合に持っていくような大きなトレーナーグッズを収納できるトランクを作って欲しいです。今はホームセンターなどで買い揃える事が多く、専用のものはなかなかないので。



著:Rumiture佐藤敏基

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